『あきない世傳 金と銀2(早瀬篇) 』を読んでみました(ネタバレなし) ~ 高田郁 ~

私の読書感想文

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『あきない世傳 金と銀2(早瀬篇)』を読んでみました。
2016年8月に出版された、シリーズ第2弾。
1巻では9歳だった主人公の幸も、今作では17歳にまで成長します。

 

前作は、幸が阿呆ぼんの後添えにされてしまうのかどうかというところで終わりました。
幸が後添えにならざるを得ないことは分かっていましたが、聡明な幸がどう覚悟を決めていくのかを楽しみにしていました。

確かにこの時代、ただの下女が商売人として成功するためにはこれしかないだろうとなとは思います。
でも、同じ女としてはやっぱり切ない。
そんな読者の気持ちを考慮してか、「玄人女好みの阿呆ぼんは子供なんかに興味なし!」という設定の元、結婚後も手をつけられることなく、幸は成長していきます。

果てることのない阿呆ぼんの色狂いと、孫可愛さゆえに許し続ける祖母。
いったいこの茶番劇はいつまで続くんだろう・・・とさすがに飽きてきたところで衝撃の展開!
無理矢理感もなきにしもあらずですが、やっとのことでエピローグが終わり、本格的な物語が始まりそうな気がします。

 

今作で残念だったのは、幸の才能を見い出し、今後の幸の道しるべともなるであろう番頭の治兵衛が卒中で倒れてしまったことです。
自分の経験からも思いますが、この平成の時代でさえ、女性が仕事で認められるのはたいへんなことです。
努力する機会さえ与えてもらえないことも往々にしてあるのです。
治兵衛が五鈴屋から去ってしまうことで、幸が立ち向かわなくてはならない世間の荒波は一層大きなものとなるでしょう。
小説とはいえ、胸が塞がるような気がしてしまいました。

 

ただ、1つだけ幸は恵まれているなと感じるのは、身近な人達(阿呆ぼん以外)がみんな根はいい人だということです。
嫁ぎ先の家族や奉公人たちは、幸に好意的な人ばかり。
ここらへんは、高田先生の作品全てに共通する特徴です。
一途な女主人公と、主人公を支えて共に苦労してくれる個性的な面々。
降りかかる苦難にも負けずに立ち向かった先には、必ずもたらされる光・・・
水戸黄門のような勧善懲悪と言ってしまえばそれまでですが、読み終わった後にはいつも切なさと痛快さが入り混じったような不思議な気持ちになります。

 

筆が速い先生ではないので、続編が出るまでまた半年以上は待たされることでしょう。
これが嫌で「シリーズものは完結するまで読まない!」と決めているのに、最近は我慢できずに手に取ってしまうことが増えました。
年をとった証拠かなあ・・・と、若干落ち込んでしまう今日この頃です。

 

 

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コメント

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