『遺跡発掘師は笑わない 元寇船の紡ぐ夢』を読んでみました(ネタバレなし)  ~ 桑原水菜 ~

私の読書感想文

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『遺跡発掘師は笑わない 元寇船の紡ぐ夢』を読んでみました。

前編にあたる『遺跡発掘師は笑わない 元寇船の眠る海』を読んでから2ヶ月。
お待ちかねの、西原無量シリーズの第7弾です。

長崎県鷹島沖での海底遺跡発掘中。
天才発掘師・西原無量は美しい黄金の短剣を見つけますが、すぐに何者かに盗まれてしまいます。
国際窃盗団コルドの幹部が暗躍し、発掘チーム内にいるスパイの影もチラつく中、剣の由来を証明する銀印や牌符の存在も見つかります。

・高麗の王様が高麗軍の元帥に授けたとされる『忠烈王の剣』
・李氏朝鮮の太祖・李成桂が討ち取ったとされる倭寇の勇将の「アキバツの剣」
・海の武士団松浦党の金原家が対馬の殿様から拝領した『対馬様拝領の刀』

1本の剣に対して3つの名前…無量たちが見つけた剣の正体はいったい何なのか?
そして、レプリカを本物と偽ったオークションは阻止できるのか?
元寇の時代を生きた人達の末裔も登場し、細い糸を辿って歴史に秘められた真実が明かされていきます。

 

しかし…
私の読解力が乏しいのか、時代や登場人物が入り組み過ぎていて、サラッと読んだだけでは理解不能です。
何度も前に戻って読み返し、流れを紙に書きながら読み進めました。

でも、牌譜発見からの、本物の剣の引き揚げ、オークションぶっ潰しまでの怒涛の流れは、そこまでヤキモキさせられていた気分が一気に解放されて気分爽快です!
全ての謎が見事に解明されて大満足でした。

 

今作も、元のフビライ・ハンや高麗の忠烈王、李氏朝鮮の李成桂、対馬藩初代藩主の宗義智、挙げ句の果てには豊臣秀吉まで登場してしまう超豪華キャスト。
元寇のことだけではなく、倭寇や秀吉の朝鮮出兵、数年前の仏像盗難事件まで描かれています。

無量のような若い世代の登場人物たちによって語られる歴史考察は、私のような素人でもあまり身構えずに受け入れることができます。
学校で教えられた時にはほとんど興味も持てなかったのに、韓国や北朝鮮の人達の根底にある日本への愛憎の深さを考えさせられました。

 

それにしても、萌絵ちゃん。
無量への想いは割と素直に態度に出してるように思うのに、どうして前に進まないんだろう?
1番好きなキャラなので、なんとか幸せになってほしいんだけどな。
でも、最近は、何も語らずに無量を守る忍ちゃんの姿も切なすぎて、なんだか複雑です。

 

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