『遺跡発掘師は笑わない 悪路王の右手』を読んでみました。
待ちに待った、西原無量シリーズの第4巻です。
今回のお話では、天才発掘師の西原無量が、三本指の「鬼の手」を発見します。
この右手は誰のものなのか?
蝦夷、阿弖流為(アテルイ)、桓武天皇、坂上田村麻呂、源義経・・・日本史の主役たちが目白押しです。
いつの時代でも歴史は征服者によって捻じ曲げられてしまうもの。
負ければ鬼や悪魔と卑しめられ、忌むべきものとして史実から抹消されてしまいます。
教科書で覚えた歴史が頭の中で邪魔をするので、何度も前に戻って、確認しながら読みました。
それにしても!
萌絵ちゃん、イケメンに弱過ぎだわ。
無量も少しだけ萌絵ちゃんの必要性(?)に気づき始めたみたいだけど、女として見てもらうにはまだまだ先は長そうです。
それから、本筋とは違いますが・・・
今回舞台となったのは、震災から2年後の東北地方でした。
そこで生きる人たちに必要な高台での宅地開発と、土を盛ってしまう前にやっておくべき遺跡の発掘調査。
「今も仮設住宅に住む人がいるのに、悠長に発掘調査などやってていいのか?」「遺跡発掘が復興の妨げになっている」という住民の声は至極もっともで、それでも歴史調査を優先すべきなのか葛藤する無量。
だけど。
日々の記憶が染み付いたものを全て失った自分たちだからこそ、先祖がそこで暮らした証でもある古い文物は、どんな小さなものでもありがたいと笑う被災者。
復興を急ぐ中でも、遺跡の発掘調査や被災した古文書のクリーニング作業は日々続けられているのだと、今更ながら知りました。
軽いタッチなので文章はスラスラ読めるのに、詰められた史実や、被災地の想いが多過ぎて、頭がパンクしそうになってしまいました。
まさか続きがあるとは思わなかったので、最終ページまで読んで呆然・・・
せめて、タイトルに前編と入れておいてほしかった。
8月の後編発売が待ち遠しいです。
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